インボイス制度により税務調査はどうなる?

令和5年10月1日からインボイス制度がスタートしました。


制度自体に対する事業者の方からのご質問も多いのですが、これが税務調査に与える影響についてのご質問も多くなっています。


調査のやり方が変わったり、インボイスを1枚1枚チェックされることはあるのでしょうか。

不備が見つかった場合、仕入に対する消費税は認めてもらえないのでしょうか。

今回はその辺りについてお伝えしていきます。


これまではどうだった?

税務調査で重点的に調べられるのは、わざと税金を減らすようなことをしていないかです。

例えば、売上を一部抜いていたり、経費を多く計上していたりです。


このように、悪質な不正が想定される対象者に重点的に調査は行われてきました。

もちろん、わざとではなく知識不足やミスにより誤った処理がされていないかもチェックされます。


その中で、請求書や領収書、レシートなどを全て1枚1枚チェックするといった調査はほとんどありません。

時間が限られているため、こういった調査をしていると、他に見るべき重要なところを調査できなくなってしまうからです。


今後は?

今後の調査では、インボイスの記載事項が正しいか1枚ずつチェックされるのでしょうか。

週刊税務通信 No.3739に国税庁への取材内容が記載されていますので、一部抜粋します。


【国税庁】

「一般論として、これまでも請求書等について軽微な記載事項の不足を確認することを目的とした税務調査は実施しておりません。
仮に調査過程で買手が保存しているインボイスについて、記載事項の不足等を把握した場合であっても、インボイスに必要な記載事項を相互の関連が明確な複数の書類により確認出来れば適正なインボイスとなりますので、インボイスだけでなく他の書類等を確認するといった対応をすることで修正インボイスにより事業者間でその不足等を改めていただくといった対応も考えられます」


この回答を見る限り、インボイス1枚1枚をガチガチにチェックするといったことはしないのではないでしょうか。


これまでも、書類の軽微な記載不足等をチェックすることを目的とした調査はされてこなかったので、この流れはインボイス制度導入後も変わらないと予想され、柔軟な対応がされるでしょう。


間違ったインボイスでも仕入に対する消費税が認められるかどうかの国税庁の見解については、少し長くなりましたので次回お伝えしたいと思います。


まとめ

今回は、インボイス導入後の税務調査についてお伝えしました。


国税庁の方針は、インボイスが導入されたからといってガチガチに書類をチェックすといったスタンスではなさそうです。

これまでと同じような流れで調査は実施されると思われるので、必要以上に神経質にならなくても良いでしょう。


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