最初の判断

税務調査について、「税理士に依頼した方が良いか」というご質問を多くいただきますので、今回はこのことについて私の意見を書いてみます。


まず最初の判断基準は、申告内容に自信があるかどうかです。

売上は合っているはず、経費も支払ったものしか入れていない、事業とプライベートは分けている、資料や帳簿も問題ない、ということであれば、そのまま納税者の方だけで対応して問題ないかと思います。


ただ、調査の連絡があった時点で何らか気になることがある、又は、明らかな間違いが分かっているということであれば税理士への依頼を検討すべきです。


その大きな理由は、依頼の有無により最終的なトータルの支払が数百~数千万円違ってくる可能性が大きいからです。

具体的な判断基準

では、その具体的な判断材料にはどういったものがあるのでしょうか。

全てとなると膨大になるので、税額への影響が大きいものをいくつかピックアップしてみます。


逆に言うと、納税者側で以下のような基本的な対応が出来ないと税務署から言われるがままです。


そして、そのまま調査結果として税額が提示され、予想以上の金額となり厳しい結果となります。


  • ・現在の状況を正確に把握できているか。
  •  
  • ・問題点に対し有効な対策を行うことができるか。
  •  
  • ・着地点を想定し、そこまでの複数の流れが組めているか。
  •  
  • ・調査でやってはいけないことを理解しているか。
  •  
  • ・調査官の話を正しく理解し、適切な説明、根拠がある反論、交渉ができるか。
  •  
  • ・自主修正を行うか。
  •  
  • ・重加算税や7年遡及を回避できるか。
  •  
  • ・自主修正を行ったにも関わらず、更正の予知があったとして重加算税と言われた場合、法令、法令解釈通達、事務運営指針、裁決等から適切な反論ができるか。
  •  
  • ・法令等を根拠に反論、交渉ができるか。
  •  
  • ・双方の譲れない論点を理解しながら交渉し、負担金額を最小限に抑えることができるか。
  •  
  • ・質問応答記録書に署名を求められた場合、適切な対応ができるか。
  •  
  • ・隠蔽・仮装、偽りその他不正の行為、脱漏、外部からもうかがいうる特段の行動、など専門的な用語を正しく理解し、調査官と話をすることができるか。
  •  
  • ・調査官の権限、守るべき法令を理解し、それに違反した場合、憲法、行政手続法、国家公務員法から指摘、反論出来るか。
  •  
  • ・正しい、正しくないを判断し、法令等の根拠をもって反論できるか。
  •  
  • ・調査官との話が平行線の場合、統括官と話す、意見書を提出するなど有効な方法をとれるか。
  •  
  • ・重加算税や交際費など、揉めやすい論点は立証責任がどちらにあるかなどから反論できるか。
  •  
  • ・推計課税が行われ納得がいかない場合、別の方法で推計値を示すことができるか。
  •  
  • ・反面調査の必要性、リスクを理解し、必要がない調査を防ぐことができるか。
  •  

まとめ

今回は、ご質問を多くいただく「税理士への依頼」について私の考えをお伝えしました。

細かいところは省いておりますが、調査では少なくとも上記のようなことを調査の連絡があったときから考えていく必要があります。


調査官や税務署は調査のプロです。

ほとんどのケースは納税者の方のみでは対応が難しく、1つ対応や判断を誤ることで想像以上の金額となります。


当初から適切な対応をしていれば大幅に金額を抑えることも可能ですので、調査の電話があった時点で真剣に考え、少しでも早く対策に移行した方が良いです。