調査の立ち合い

税務代理を受けた税理士は税務調査に立ち会うことができます。

そのためには、税理士側で税務代理権限証書の税務署への提出が必要です。


通常、納税者の配偶者や家族であったとしても、調査に立ち会うことはできませんし、退出するよう促されます。

ただ、経理を配偶者の方がされているケースも多く、その場合は税務代理を行わず経理方法を説明するためだけという条件で、その場への同席が許可されることもあります。


個人の方へ調査が実施される場合、実際に自宅や事業所に来る調査官は1人又は2人の場合がほとんどです(感覚的には2人のケースが多いです)。

調査が複数回に渡り行われる場合などは、2回目以降については税務署の会議室で実施される場合もあります。


揉めている場合、誤りの内容・金額が大きい場合、5年遡及や7年遡及、重加算税が検討されている場合に多いのですが、そこに調査官の上司も加わると税務署側だけで3人となる時もあります。


そういう時でも、基本的には納税者側は1人です。

そこで、納税者の横にいることが出来るのが税務代理を受けた税理士です。

税理士の役割

立ち合い時の税理士の役割は色々ですが、まず挙げるとすれば、その場のハンドリングです。

そして、横にいるという安心感です。


初日の調査が終わった後によくいただく言葉が、一緒にいてもらえて良かったという一言です。


納税者の方は初めてのことで緊張もあり、不安も大きいです。

そこに、専門家である税理士が横にいるだけで安心しました、とおっしゃっていただくことが多いです。


そして、横にいるだけでなく、税理士の方でその場を上手くハンドリングすることができます。


最初の挨拶から、雑談、ヒアリング対応など、税務署側の一方的なペースではなく、納税者側のペースも同時につくることが可能です。

これができないと、言われるがまま終わってしまったという感覚になるでしょう。

実際のシチュエーション

※守秘義務の関係上、一部内容を変えています。


私が立ち会う時は、事前の打ち合わせで段階で十分にヒアリングを行うことで、調査官からの質問については私の方でもほとんど答えることができる状態にしてあります。


それにより、納税者の方が調査官からの質問に上手く返答できない、意図している回答と別の意味にとられてしまう、全く別の回答をしてしまう場合などに対応できます。

私の方で直接答えることもありますし、これはこういうことですよね、こういう意味ですよね、といった感じで補足することも可能です。


時には、悪い方にどんどん進んでいる場合は強制的に私の方で発言を訂正して、その流れを断つことがあります。

これは非常に大切で、調査のポイントとなる論点ではその発言や対応は十分気を付ける必要があります。


例えば、調査官は「A」という事実を既に知っていたとします。

この「A」という事実を確認するために、調査官は段階的に質問をしてきます。


この段階で私の方は、調査官は既に「A」という事実を知っていて、さらに、それを裏付ける資料や情報を持っているにも関わらず、あえて質問を続けているという状況がある程度分かります。


納税者側では、そういう状況での質問と分からず、事実が「A」にも関わらず、事実は「B」と回答してしまうことが実際の現場ではよくあります。


その理由は、緊張からかもしれませんし、ほかの要因かもしれません。

ただ、理由はどうであれ、その場合の納税者の回答は「B」ということになってしまいます。


本当の事実は「A」で、そのことは税務署も知っており、さらに証拠まであると、最終的には納税者の回答はひっくり返され、結果として虚偽答弁となります。


そういう時に、状況や結果が見えている税理士が横にいると、強制的にでも発言を訂正することもできます。

虚偽答弁になる前に訂正することで、悪い方向に進んでいた状況を断ち、また道を戻すことができます。

まとめ

今回は、調査立ち会い時の税理士の役割として、現場をハンドリングすることの重要性についてお伝えしました。


調査官は税務調査のプロです。

そのために事前準備を十分行っていますし、申告書や資料、質問に対する回答などで、真実は何か、何が理由でこの結果になっているのかも分かっていますので、細工やごまかしは通用せず、状況が悪くなるだけです。


その前提で、調査日までの短期間でしっかりと準備を行い、対応方法を検討し、当日を迎えることがベストです。

そしてその当日は一人ではないため、何かあればその税理士が対応してくれます。