税務調査を受けやすいケース

個人事業主の税務調査はランダムに行われるものではありません。

調査官が年間に実施できる調査件数には限りがあります。

その限られた件数のなかで全然追徴税額が発生しなかったとなると、調査官としても、「時間はかけたけど、その成果は・・・」となるでしょう。

調査官はその上司である統括官の指示で動いており、報告もしないといけません。

調査官もいわばサラリーマンですから、成績、評価、昇進といったものもあります。

そうなると、50件の中からくじ引きで1件を選ぶより、最初にある程度絞ったうえで、その中から更に絞り込みをかけピックアップするでしょう。

ここで、その絞り込みの対象となりうる個人事業主の特徴をお伝えします。


  • 売上が900万円前後、又は900万円前後が続いている
  • 無申告
  • 売上が急増
  • 経費に怪しい点がある
  • 所得が低すぎる、又は0円申告
  • 規模が大きい
  • 還付申告をしている
  • 現金商売
  • 申告漏れが多い業種に該当
  • 開業後3年~5年経過
  • 流行りのビジネスを行っている
  • 税理士が関与していない

ケースの詳細

ここでは、調査を受けやすいケースの詳細をお伝えしていきます。


【売上が900万円前後、又は900万円前後が続いている】

売上が1,000万円を超えると、翌々年は課税事業者となり消費税を納めなければいけません。

このラインを超えないように、売上を調整するケースが多いことは当然税務署側も知っています。

900万円前後の売上が続いている場合は、売上を抜いていないか疑われることが多いです。

また、少しの集計ミスでも1,000万円のラインを超えてしまうことがあります。

このように、免税事業者から課税事業者に該当することとなった場合、消費税負担は相当な金額になります。


【無申告】

国税庁側は、無申告に対する調査を強化していくと明言しています。

脱税の場合は少しは納税していますが、全く申告していない無申告は、脱税よりも重いと考えられています。

税務署が持っている色んなデータや情報から、無申告は必ずバレると思っておいた方が良いです。


【売上が急増】

急増している原因確認のために入る場合もあります。

売上の伸びに対しての、利益率や所得率の変動に目立つところがあるとその点も確認されます。


【経費に怪しい点がある】

人件費や外注費は水増し等によく使用される科目です。

仕入れがあるのに在庫がない、少なすぎる場合も目立ちます。

卸・小売業なのに交際費が多額など、決算書に目立つ科目があるとその確認をされます。


【所得が低すぎる、又は0円申告】

所得が低すぎたり0円の申告書が提出されている場合、どうやって生活しているのか、その確認に入られる可能性があります。


【規模が大きい】

もし修正がある場合、通常は売上規模が大きい事業者ほど追徴税額も多くなります。

そのため、規模が大きいほど入られる可能性は高くなります。


【還付申告をしている】

少し前に、「副業を赤字申告して、給与所得と相殺させて還付」という情報がネット上に多くありました。

ただこれは、副業が事業所得に該当する場合です。

通常、副業は雑所得に該当しますので、雑所得と給与所得を損益通算させて還付を受けることはできません。


【現金商売】

現金でのやりとりは、通帳を通すより証拠が残りにくくなります。

飲食店や美容院など現金を扱う業種は注意が必要です。


【申告漏れが多い業種に該当】

国税庁が公表している税務調査に関する資料では、申告漏れが多い業種がランキングされています。

令和3年度ですと、上位3つは、経営コンサルタント、システムエンジニア、ブリーダーとなっています。


【開業後3年~5年経過】

調査は通常3年分行われます。

税金の原則的な時効は5年のため、誤りが多いと5年分調べられることとなります。

開業すぐより、3~5年待って行われることが多いです。


【流行りのビジネスを行っている】

ユーチューバー、せどり、暗号資産、ネットを介したものなど流行のビジネスについては、国税庁側は積極的に調査を行うと公表しています。


【税理士が関与していない】

税理士が関与しているかどうかは申告書をみればすぐ分かります。

税理士が関与する場合、申告書には必ず税理士の署名(電子申告の場合は電子署名)がなされます。

税理士が関与すると、経費の計上ミスは発生しにくく、意図的な脱税も起こりにくくなります。

重加算税の対象は低くなるため、税理士の署名がある申告書は、調査の優先順位は低くなるでしょう。

まとめ

今回は、税務調査を受けやすい個人事業主の特徴をお伝えしました。

きちんと適切な申告を行っている場合であっても、業種や売上等の状況によっては調査を受けてしまう場合があります。

ただ、きちんと申告を行っている場合は、税務調査は怖いものではありませんので過度に心配する必要はありません。

私も、個人の方の税務調査のご相談をお受けしております。

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