【個人の税務調査】在庫は売上と同じくらい重要
在庫は利益に直結する
税務調査で最も重点的に調べられるのは売上です。
では、売上と同じくらい重要な科目は何でしょうか。
それは、棚卸資産である「在庫」です。
在庫はよく利益調整に使われることがあります。
在庫金額が300万円の場合、利益を100万円減らしたければ在庫を200万円に書き換えることで、すぐにそれが出来てしまいます。
領収書や請求書の金額を偽造したりせず、内部資料だけで簡単にできてしまいます。
そのため、調査官も目を光らせることになります。
そして、もし在庫調整した場合、そのツケは必ず回ってきます。
在庫調整はバレる?
在庫調整はバレます。
調べようと思えば方法はいくつもあります。
事業主へのヒアリングの中で、仕入れから売却までの物の流れ、取引先、管理方法、システム、資料の整理・保存、実地棚卸の手順、差異がある場合の対応方法、倉庫等での実地確認、など色々な角度から聞かれたり見られたりします。
整合性が取れていないと深堀りされます。
調査日現在において、当期の売上と仕入を集計すれば、その金額から前期末時点の期末在庫を逆算することも可能です。
時間をかければ、それより前の過去の在庫も正しいか検証できます。
また、前期末前後の仕入の請求書と売上を照らし合わせれば、在庫が正しいかどうかも分かります。
売上・仕入・在庫は全て繋がっていますので、全て整合性がとれているかも見られます。
どこかで在庫をいじってしまうと、またどこかで調整しないといけなくなるため、そのツケは必ず回ってくるということになります。
在庫で気を付けるポイント
在庫で安易に利益調整をしないことはもちろんですが、日ごろの処理でも気を付けることがあります。
【取得価額】
棚卸資産の取得価額は、購入代価+付随費用です。
引取運賃や手数料などの付随費用漏れに注意しましょう。
【預け在庫】
自分の倉庫にあるものだけが在庫ではありません。
車の中、仕入先や外注先に預けている在庫も計上漏れになりやすいため注意が必要です。
【評価方法】
個人事業主の場合、法律で決まっている評価方法は「最終仕入原価法」です。
これは、期中最後の仕入価額で単価を評価する方法です。
別の方法で評価したい場合は、税務署への届出が必要となります。
どの評価方法で評価しなければいけないか確認が大切です。
【期末の仕入価額】
評価方法にも関係しますが、最後に仕入れた価額が重要となってきます。
そのため、期末に意図的に仕入価額が変更されていないか確認されますので、もし変更されていればその理由を説明することが大切です。
【廃棄】
廃棄している場合、廃棄を証明する書類が必要です。
廃棄証明をもらえないなどの場合は、廃棄の写真を撮っておくなど説明できるようにしておくことが大切です。
まとめ
税務調査において、在庫は必ず確認される項目です。
在庫が正しいかどうかは、調べようと思えば調べることができます。
安易に調整をしてしまうと、あとで辻褄が合わなくなってきて大変です。
もし意図的な棚卸除外と思われてしまうと重加算税の対象となってきます。
不要な指摘を受けないよう、実務上気を付けるべきポイントを意識することが大切です。
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