税務調査は聞き取りから始まる

個人の税務調査では、自宅や事務所に調査官がやってきます。

調査官が自宅にやってくる

都合が悪ければ理由を話し、税務署などで受けることも可能です。

挨拶を交わしたあと、調査官はすぐに帳簿等を調べ始めるわけではありません。

まずは納税者本人への聞き取りが行われます。

税理士が立ち会っている場合でも、この最初の聞き取りは納税者本人に対して行われますので、その場で対応する必要があります。

この聞き取りは、事業内容、事業を始めた経緯、取引関係者、売上の入金から経費の支払いまでのお金の流れ、日々の帳簿付け、書類の管理方法、確定申告書の作成方法、家族構成など多岐に渡ります。

よく、「税務調査では雑談が行われる」といわれることがあります。

例えば、趣味を聞かれるといったことも、この最初の聞き取りの時に行われることが多いです。

一見、何気ないこの雑談ですが、内容によっては調査官の明確な意図が隠れています。

調査官との雑談にも意図がある

この時に、生活費について聞かれることがあります。

生活費を聞かれる理由

生活費を聞かれる理由は、「おおまかな所得を把握したいから」です。

納税者から実際の生活費を聞くことによって、確定申告で申告されている所得との整合性を見ることが出来ます。

総務省の資料「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、消費支出(二人以上の世帯)は1世帯当たり290,865円です。

例えば、納税者の毎月の生活費が、この平均的な30万円だったとします。

年間の生活費は、30万円×12ヵ月=360万円となります。

貯金を100万円ちょっとしているとすると、年間で大体500万円の所得が必要になります。

一方、提出されている確定申告書が、売上1,000万円、経費700万円、所得300万円となっていた場合、辻褄が合わなくなります。(実際には減価償却費など考慮すべき事項もありますが、ここではあえて簡単に試算しています)

所得300万円では生活費500万円が払えないのです。

所得が300万で生活費が500万なら辻褄が合わない

雑談で「趣味はゴルフ(車、バイク、旅行)」などと答えた場合、趣味にかけるお金も当然必要となりますのでより所得が必要です。

貯金など過去のお金で賄っていると言っても、通帳を見れば本当かどうかすぐ分かります。

帳簿を調べる前段階の、このヒアリングだけでも深く追及を受けてしまう可能性があるのです。

足りない分はどうしているのか、借入をしたのか、もらったのかなど辻褄が合うまで追及を受けます。

所得を少なくするために売上を除外していないか、経費を水増ししていないか、在庫調整をしていないかなど疑われる可能性もあります。

辻褄が合うまで調査官から質問される

初めから疑われている場合もある

ヒアリングをせずとも、税務署側で実地調査の前に何か掴んでいる場合もあります。

税務署側は各業種に関する膨大なデータがあり、各業種ごとの平均的な売上高、利益率、経費率、所得率を把握しています。

異常値がある申告書は目立ちますし、それだけで調査対象とされる可能性が高くなります。

上記の例でいうと、例えば所得が100万円という申告書は明らかにおかしいです。

何らかの理由でその年だけ異常に所得が少なくなる場合はありますが、それが何年も続いているのに平均的な生活ができているとなると、どこかにおかしな点があるはずです。

ちなみに、その年の所得が特別な理由で少なくなった場合などは、青色決算書の「本年中における特殊事情」欄にその旨を記載しておくとこで不要な調査を受ける可能性が低くなります。

まとめ

一見、事業とは関係ないようにみえる個人の生活費ですが、生活費に関する調査官の質問には明確な意図があります。

調査官はおおよその生活費を把握することで、申告書の数字と辻褄が合っているかを確認します。

辻褄が合わないと、不明点が解消されるまで追及を受けることとなります。

場合によっては、税務署側で何かしらおかしな点を掴んでおり、その確認をするために調査が実施されることもあります。

その年の特殊事情は、その旨を申告書に記載しておくことで不要な調査を受ける可能性を下げることが出来ます。

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