会社員の方からご相談がある場合

私は個人の方に対する税務調査対応を行っているのですが、その個人の方は個人事業主か会社員のどちらかであることが多いです。


特に、確定申告明けの3月~6月位の春の時期は会社員の方からのご相談が非常に多いです。特にその時期でも4月、5月は非常に多い印象です。逆に、夏から年末にかけては、私の方にご相談をいただくのはほとんどが個人事業主の方からです。


会社員の方からご相談があった場合、まずは申告書と資料を拝見するのですが、給与以外の何らかの所得がある場合がほとんどです。


例えば、不動産所得、事業所得、雑所得、株などの金融所得などです。

不動産だとワンルームマンション投資、以前住んでいたマンションやアパートの貸し出しなどが多く、事業や雑所得だと副業的なものが多いです。

そしてもう1つの特徴として、給与所得との損益通算で還付となっていることです。

また、不動産所得の場合は経費が非常に多く計上されているといった特徴もあります。


実際の調査現場や調査終了時に調査官に尋ねてみると、上記内容の確認のためでしたとの返答を受けます。

もう少し具体的に書くと、そもそもの源泉所得税が高額、所得区分は事業所得で良いか、経費が全体的に多すぎる、不動産所得の交際費や旅費が高額、直近1~2年の各比率の変動幅が大きい、損益通算出来ないのに相殺しているなどです。


まずは状況把握

税務署から調査の連絡があった場合、まず何をすべきでしょうか。


まずは、時間をかけずに一刻も早くご自身の申告状況を正しく把握することです。


時間をかけるべきではない理由は、調査日という期限が決まっているからです。

調査日が決まっている場合は、早くて1~2週間後のケースもありますし、これから日程調整をする場合もおおよそ1ヵ月以内ではないでしょうか。

この正しい状況把握を早期に出来れば出来るほど、その後の準備期間を十分にとることができます。

この事前準備により税額が大きく変わってくる場合が多々あります。

調査1週間前など直前にご相談いただいた場合も方法はあるのですが、それでも最初から時間が十分にあるに越したことはありません。


そして、その状況を「正しく」把握するといったことも大切です。


なぜ調査対象となったのか、今把握している誤りの有無、誤りが分かっている場合その原因はうっかりか、知識不足か、または意図的か、どのパターンに当てはまるのか、このまま何もせず調査を迎えた場合どうなるのか、3年で済むのか、それとも5年又は7年となる可能性が高いのか、今から何が出来るのか、何をすべきか、あらゆる質問を想定しその回答の準備ができているか、所得税以外に加算税や住民税を含めたトータルの金額を把握できているか、調査官への対応はどうすれば良いか、何を言ったらいけないか、言うべきではないか、複数の着地点が想定できているかなど、分析し把握すべき情報は多岐に渡ります。


まずはこれが出来ない以上、その後何も出来ません。

結果、手ぶらで調査に臨み何も分からないまま税額が提示され、何も出来ないまま調査終了となります。


まずは相談すること

上記の状況把握を納税者の方のみで行うことは非常に難易度が高いです。

また、それが正しいかどうかの判断も困難です。


その場合は、専門家にまずは相談だけでも行うといったことが非常に有効です。


客観的に状況整理を行ってもらい、場合によってはその後の調査は納税者の方のみで行うといった判断も出来ますし、そのまま任せるといったこともできます。

状況把握さえ正確にできれば、その後は選択できますので、まずは第一ステップとしての状況整理が非常に重要です。


まとめ

今回は会社員の方に対する税務調査について、その中でも最初のステップとなる「一刻も早い正確な状況把握」の重要性についてお伝えしました。


これを行うかどうかによりトータルの負担は大きく変わってきます。

十分な準備期間確保のため、出来るだけ早期であることも鍵となります。